Tanimoto Kozue

【谷本 梢】

私がドローイングで描く対象は、感情である。
ドローイングによる感情表現を行う時は、過去に引き起こされた忘れ難い記憶やその瞬間的な感情が大きく影響している。
毎日の生活において同じ日などなく、心の中には止めどなく感情が溢れている。
しかし私たちは無意識のうちに感情を表に出すことを恐れているように思われる。それは社会の円滑な運営のためであり、自分自身のコントロールによるものもあるだろう。成熟した現代社会において多くの人がストレス、不安、欲求不満を貯め心身ともに不安定な状況に晒されている。
それらのストレスから逃れるために依存症、心身障害などの問題も発生している。
 心の中に抑圧された感情は、何度も受け止められ整理される。そして振り分けることの出来ない最小単位の感情が残る。それには形はなく原理や現象ではない。目には見えないものである。
その感情を取り出して作品に昇華するときは、自分の心の動きと手の動きが連動し同じ脈圧が感じられる。線は具象的な輪郭を辿らず、抽象的な形として現れる。何かの痕跡のように無秩序なドローイングは一見稚拙であり、残酷であり、そして優雅である。
画面に定着した感情は、見る人の心の底に仕舞われた吐露したい感情を呼び起こし、心の代弁をする。ドローイングによる感情表現で、押し潰されそうな心の解放や癒しをもたらすことができるのではないかと考えている。

1993年 石川県出身
2017年 金沢美術工芸大学、美術工芸学部、油画専攻卒業
2018年 金沢美術工芸大学大学院、修士課程、美術工芸研究科、絵画専攻、油画コース在籍
2019年 金沢美術工芸大学大学院、修士課程、美術工芸研究科、絵画専攻、油画コース
修了見込、修了制作買上
《受賞》
2015年 第3回宮本三郎記念デッサン大賞展 入選
2016年 第3回CAF賞(Contemporary Art Foundation) 入選
2017年 第4回宮本三郎記念デッサン大賞展 佳作賞
2018年 KANABIクリエイティブ賞2018 受賞
2018年 第61回新象展・大阪展 大阪市長賞
《展示》
2013年 oterart2013 「光と影の発電機」(崇禅寺/金沢)
2015年 グループ展 モノクロ4ch(石引アートベース、竪町ムロノコレクションビルF1/金沢)
    グループ展 もり展 (PORTE /金沢)
2016年 第3回CAF賞入選作品展覧会(アーツ千代田3331/東京)
2017年 個展 (gallery点/金沢)
2018年 個展 (RooM_412 /東京,渋谷)

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